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こんさーる日記の別館です


by orataki01

コーチング技法を体験する

中小企業診断士の更新研修に参加してきました。タイトルは「企業内管理者のためのコーチング」です。

コンサルタント仲間の中で「コーチング」という言葉がもてはやされてきたのは2000年ころからだったと記憶しています。企業の経営者や従業員をエンパワーする有効なコミュニケーション手段として知っておく必要があり、当時はいろいろな書物を読み漁ったものでした。コーチングというのは

1)人は皆、無限の可能性を持っている
2)その人が必要とする答えは、すべてその人の中にある
3)その答えを見つけるためには、パートナーが必要である

ということを前提としたコミュニケーションスキルです。「コーチ(coach)」の語源は「馬車」です。そこから動詞としての「コーチ(coach)」に「大切な人を、現在その人がいるところから、その人が望むところまで送り届ける」という意味が派生したと言われています。実際の技法としては電話や対面セッションを通じて質問形式で本人に「気づき」を与えることになります。一方的な回答やアドバイスをするのではありません。ここで質問の特徴について述べておきます。気づきを与えるような質問は以下のようなものです。

1)拡大質問 →どのようにしたらそれができるでしょうか?
2)未来質問 →これからどうしたいですか?
3)肯定質問 →~できるでしょうか?

われわれはともするとこれと逆の質問をしてしまうことがあります。否定質問、過去質問、限定質問などはしてはならない質問です。そして4W2Hを意識して質問します。すなわちWhat、When、Who、Where、How、HowMuchです。Whyはだめです。Whyは責任追及の感覚があるからです。もう少し別の表現で質問をしてみると以下のようになると思います。

1)もう少し話を聞かせてください。
2)それは面白そうですね。それで?
3)それは具体的に言うと?
4)それを実行するとどうなるのでしょうね?
5)そのあとどうしましょうか?

すべてポジティブで前向きな回答が引き出せそうな気がしてきますね。事実、ロールプレイングでは私が質問を受ける側に立ったとき、非常に明るい未来をイメージすることができました。これは実際のコンサルティングにも応用できるのではないかと思いました。特に戦略策定フェーズでは有効になると思われます。その企業の内容を一番知っているのは経営者でありコンサルタントではありません。ですから戦略の正解はクライアントの頭のなかにあると考えるのが妥当なのです。その戦略をうまく整理して引き出してあげるのがコーチング技術だと思います。

よく「企業は人なり」といわれます。これから勝ち残る企業というのは自ら気づき、自分自身を自己変革できる人材を育てられる企業だと思います。組織を支えている従業員ひとりひとりをリーダーシップを備えた有能な人材へと自己変革させてゆくためにもコーチングの必要性を強く感じます。
by orataki01 | 2004-09-05 00:16 | 中小企業診断士